2026.08.28
投稿日:2026.08.28 最終更新日:2026.08.28
「工場内が暑すぎて、作業に集中できない」「大型扇風機を回しても、熱い風が動くだけ」。現場から、こんな不満の声が届いていないでしょうか。
声が上がるたびに何とかしなければと思っても、冷房を強くすれば電気代が増え、休憩を増やせば生産計画に影響します。働く人の安全は守りたい。しかし、納期や予算も無視できない。工場長や設備担当者のなかには、有効な対策を決められないまま、現場と経営の板挟みになっている方もいるでしょう。
金属製の屋根や外壁は日射を受けて高温になり、炉や大型機械も熱を放出します。複数の熱が重なる工場では、外気温が35℃でも室温が40℃を超えることがあります。とはいえ、屋根、天井、壁、機械まわりのすべてを一度に対策するのは現実的ではありません。「自社の暑さはどこから来ているのか」「限られた予算をどこへ使えばよいのか」を見極める必要があります。
この記事では、暑くなる時間帯や場所から熱の原因を見分け、優先すべき遮熱対策を選ぶ方法を解説します。費用や工期、導入前に確認したい注意点もあわせて紹介します。
山創株式会社 代表取締役
2016年創業以来、遮熱シート「サーモバリア」施工一筋で全国40都府県、1,200件以上の実績を持つ。工場・倉庫の「エアコンが効かない」「電気代が高すぎる」といった作業環境の悩みに、特許取得のスカイ工法と高性能遮熱シート「サーモバリア」で応え続ける。
目次

工場の暑さ対策に、どの現場にも当てはまる一つの正解はありません。屋根から熱が入っているのに機械だけを覆っても、十分な改善は期待できないからです。対策を選ぶ前に、まず熱がどのように伝わるのかを押さえておきましょう。
熱の伝わり方には「伝導」「対流」「輻射(放射)」の3種類があります。
| 熱の伝わり方 | 特徴 |
|---|---|
| 輻射 | 電磁波として伝わる熱。太陽や電気ストーブの熱など |
| 対流 | 暖められた空気や液体の移動によって伝わる熱 |
| 伝導 | 接している物体の内部や物体同士の間を伝わる熱 |
太陽のエネルギーは、輻射によって地表へ届きます。日射を直接受ける金属製の折板屋根は、夏場に表面温度が60℃を超えることも珍しくありません。すると屋根自体が大きな熱源となり、ストーブのように室内へ熱を放射し続けます。冷房で空気を冷やしても暑く感じるのは、この輻射熱が残っていることも一因です。
ここで混同しやすいのが、断熱と遮熱です。断熱材は、熱が物体の中を伝わる速度を遅らせます。一方、アルミ箔などを使った遮熱材は、輻射熱を反射し、熱が建物内へ移動するのを抑えます。
どちらか一方が優れているという話ではありません。断熱材に遮熱効果がまったくないわけではなく、遮熱材だけですべての熱を防げるわけでもないからです。屋根からの輻射熱が大きい工場では遮熱を優先し、外気や室内の熱を逃がしにくくしたい場合は断熱も組み合わせるなど、目的に応じて選びます。
工場の輻射熱対策として検討したいのが、遮熱シート「サーモバリア」です。アルミ純度99%以上のアルミ箔を使用し、輻射熱の約97%を反射します。屋根や壁、天井、熱を発する機械など、熱源に合わせて施工場所と製品を選べることも特徴です。
断熱材や冷房だけでは抑えにくい輻射熱へ直接働きかけられるため、屋根や設備からの放射熱が大きい工場に適しています。ただし、実際の室温低下は、製品の反射性能だけでなく、建物の構造や施工条件、外気温などによって変わります。
遮熱シートを検討するときに気になるのは、「実際に何度下がるのか」「電気代にどれほど効くのか」でしょう。
屋根から入る熱を減らせれば、室温の上昇を抑え、空調の負担を軽くできる可能性があります。ただし、温度の下がり方は、屋根の材質や面積、断熱材の有無、空調設備、測定時の天候によって変わります。
製品資料に大きな温度差が記載されていても、その数値が屋根表面の温度なのか、室温なのかを確認してください。試験棟と実際の工場でも条件は異なります。数字だけを見て導入を決めず、自社の工場で何が主な熱源になっているかを確かめることが重要です。
2025年6月1日には、改正労働安全衛生規則が施行されました。WBGT28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えることが見込まれる作業では、熱中症のおそれがある作業者を早期に発見するための報告体制や、重篤化を防ぐための対応手順を整備し、作業者へ周知することが事業者に義務付けられています。
違反した場合は、労働安全衛生法に基づき、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。遮熱施工だけで法令上必要な措置を満たすわけではありませんが、作業環境を改善する方法の一つになります。
工場を一度見渡すだけでは、熱の発生源を正確に見分けるのは簡単ではありません。しかし、「いつ暑くなるか」「どこに立つと特に暑いか」を整理すると、原因をある程度絞れます。
朝は比較的過ごしやすいのに、正午を過ぎると工場全体が暑くなるなら屋根。夕方になっても西側だけ暑さが残るなら壁。特定の設備へ近づいたときだけ強い熱を感じるなら、その機械が主な熱源かもしれません。現場の状況を次の3つに分けて考えてみましょう。

「朝はまだ作業できるが、昼を過ぎると工場全体が蒸し風呂のようになる」「曇りの日は暑さがやわらぐ」「天井に近いほど熱気が強い」。こうした傾向があり、建物が金属製の折板屋根なら、屋根からの日射熱が大きく影響している可能性があります。
このような工場には、折板屋根の上へサーモバリアの遮熱シートを施工する「スカイ工法」が向いています。
屋根の上で輻射熱を反射するため、高温になった屋根から室内へ伝わる熱を入口で抑えられます。工場内へ入ってから冷房で熱を取り除くのではなく、熱そのものを入れにくくする方法です。シートを貼る工法なので、塗料のような塗りムラが生じにくい点も特徴です。
また、シートで折板屋根の継ぎ目を覆うため、防水性の向上も期待できます。ただし、既存の屋根に劣化や雨漏りがある場合は、遮熱施工とは別に補修が必要になることがあります。
屋根面積が広く、工場全体が暑くなる場合は、まず屋根から対策するのが効率的です。
夏になると工場内が暑くなり、昼過ぎには現場から「暑くてたまらない」という声が上がることがあります。 エアコンを増設しても効果を実感できない、断熱材を入れたのにほとんど変わらなかった……。そのような経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 屋根からじりじりと伝わる暑さ。 その正体は「輻射熱(

「日が傾いてもなかなか涼しくならない」「午後になると西側の作業場所だけ暑くなる」「壁の近くに立つと熱を感じる」。このような工場では、日射で暖められた天井や壁から室内へ伝わる熱が影響している可能性があります。
このような工場では、室内側にサーモバリアを張る「内張り施工」が向いています。屋根上での施工が難しい建物や、RC造(鉄筋コンクリート造)の工場、西面・南面から入る熱への対策にも使われます。
生産ラインを長期間止められない工場にとって、施工中の影響は大きな判断材料です。内張り施工は、建物や設備の状況によっては、既存の内装や設備を残し、工場を稼働させながら進められます。ただし、高所作業の範囲や生産設備との距離によっては、作業区画の制限や一時停止が必要です。
アルミ箔の表面は照明の光も反射するため、施工前より工場内が明るく感じられる場合があります。一方、反射光が作業の妨げにならないか、施工前にシートの向きや照明との位置関係を確認しておくことも大切です。

工場全体ではなく、炉や大型機械へ近づいたときだけ顔や体に強い熱を感じる。設備の周囲だけスポットクーラーが効かない。この場合は、日射よりも機械から放出される熱が大きく影響していると考えられます。屋根や壁へ広く施工する前に、耐熱性のある「サーモバリア フィット」で熱源を直接覆う方法を検討してみてください。
機械の形に合わせて縫製できるシートなら、複雑な形状の設備にも取り付けられます。ダクト状に加工し、熱気を屋外へ排出する方法もあります。
ただし、高温設備へ使用する製品は、対応温度や不燃認定の有無を必ず確認してください。設備の点検口や可動部、吸排気口をふさがない設計も必要です。
機械まわりの遮熱は、作業者が受ける熱を抑えるだけでなく、これまで周囲へ逃げていた熱を設備内に保ち、熱効率の改善につながる可能性もあります。

熱源に合った工法を選んでも、建物の構造や設備の配置によっては、そのまま施工できないことがあります。また、導入時の安さだけで決めると、数年後の補修や更新で想定以上の費用がかかるかもしれません。見積もりを取る前に、次の3点を確認しておきましょう。
サーモバリアは、どの屋根にも同じ方法で施工するわけではありません。金属製の折板屋根にはスカイ工法、コンクリート製の陸屋根など平らな屋根にはトップ工法というように、屋根の形状に合わせて選びます。
屋根上に設備が密集している場合は、シートを施工する場所や必要な空気層を確保できないことがあります。その場合は、屋根の下や室内側へ施工する方法も選択肢です。
適した製品と工法は、屋根の種類や形状、設備の配置によって異なります。サーモバリアの反射性能を生かすためにも、現地調査を行って施工方法を決めることが重要です。
見積書を見ると、初期費用の安い遮熱塗料に目が向きやすいかもしれません。一般に、遮熱シートは遮熱塗料より導入時の費用が高くなります。ただし、比較すべきなのは最初に支払う金額だけではありません。どちらも効果が永久に続くわけではないためです。
遮熱塗料は紫外線や汚れによって反射率が低下し、いずれ再塗装が必要になります。屋外用の遮熱シートも、風雨や日射、接着部の劣化を考慮し、定期的な点検や補修、更新が必要です。耐用年数は製品や使用環境で異なるため、見積もり時に保証期間と推奨点検時期を確認しましょう。
費用を比べる際は、初期費用だけでなく、点検・補修・更新にかかる費用や空調費の削減効果を含めて検討しましょう。建物を使用する予定年数によっても、適した方法は変わります。
屋根から入る熱を減らしても、工場内で発生した熱気の逃げ場がなければ、夕方まで暑さが残ります。風通しが悪い工場や、複数の大型機械が稼働する工場では、遮熱施工だけで暑さを十分に抑えられないことがあります。
必要に応じて、換気設備の増設やスポットクーラー、作業場所の変更などを組み合わせます。複数の原因がある場合は、主な熱源から順番に対策すると、効果を確認しながら費用を分散できます。
また、屋根上での作業は天候に左右されます。雨天時や強風時には作業できないため、工期には余裕を持たせておきましょう。

遮熱対策が必要だとわかっても、予算と工期が見えなければ社内で検討を進めにくいものです。費用と工期を左右する条件を整理し、見積もりで確認すべきポイントを紹介します。
遮熱シートの施工費用は、使用する製品、施工面積、屋根の形状や状態によって変わります。単純に単価と屋根面積を掛ければ総額が出るわけではありません。屋根の汚れやさびが目立つ場合は、施工前の洗浄や下地処理が必要です。建物の高さによっては、足場代も加わります。
天井や壁への内張り施工、機械を覆う施工は、作業場所や対象物の形状によって条件が大きく異なるため、個別の見積もりが必要です。
初期費用だけでなく、効果が続く期間や、空調費の削減によってどの程度費用を回収できるかも確認しましょう。
国や自治体の省エネ関連補助金を利用できる場合もあります。対象設備や申請期間は制度ごとに異なるため、最新の公募要領を確認してください。
「何日も工場を止めるのは難しい」という理由で、暑さ対策を先送りしている企業もあるでしょう。屋根への遮熱シート施工は主に屋外で行うため、工場内の生産ラインに直接触れず、稼働を続けながら進められる場合があります。
ただし、資材の搬入経路や安全区画を確保するため、一部の作業を制限することがあります。夜間や休日の施工が可能かどうかも、事前の確認が必要です。
工期は、施工面積だけでなく、屋根の形状や劣化状況、天候、作業員数などによって変わります。見積もりでは施工日数だけでなく、雨天時の予備日や、工場側で必要になる準備も確認しておきましょう。
現場から暑さへの不満が届くと、冷房やスポットクーラーを増やしたくなるかもしれません。しかし、屋根や壁、機械から放出される輻射熱が主な原因なら、空気を冷やすだけでは改善しにくく、電気代だけが増えることもあります。
まずは工場内を朝・昼・夕方に確認し、「いつ」「どこが」「どのように暑いか」を記録しましょう。サーモバリアは屋根、天井・壁、機械まわりに施工できるため、暑さの原因に合わせて次のように使い分けられます。
サーモバリアは、アルミ純度99%以上のアルミ箔で輻射熱の約97%を反射する遮熱シートです。冷房で熱を取り除くのではなく、屋根や壁、機械から伝わる熱を発生源の近くで抑えます。輻射熱の影響が大きい工場では、有力な選択肢です。
ただし、室温の下がり方は建物によって異なります。現地調査で熱源と建物の構造を確認し、適した製品と工法を選びましょう。費用は足場や下地処理、補修、更新を含む総額で比較することも大切です。
遮熱施工とあわせて、休憩や水分補給、緊急時の対応も見直してください。効果を見込める場所から段階的に施工すれば、安全性と生産性を両立しやすくなります。