2026.03.31
投稿日:2026.03.30 最終更新日:2026.03.30
スポットクーラーを置いて、換気扇を増やして、それでも倉庫の暑さが変わらない。
「去年も同じことをやった」と思いながら、また今年も同じ夏を迎えようとしているなら、対策が根本原因にたどり着いていない可能性があります。
機器の性能が足りないわけでも、台数が少ないわけでもありません。倉庫という建物の構造そのものに、暑さが解消されにくい理由があります。
建物内の熱の75%は「輻射熱」によるものです。夏場に70℃〜80℃に達する折板屋根が、庫内全体へ赤外線を放射し続けるこの熱は、空調や換気で空気をいくら動かしても断てません。スポットクーラーが「風は出ているのに涼しくない」状態になるのも、エアコンを増設しても改善しないのも、この輻射熱が原因であるケースがほとんどです。
毎年同じ夏を繰り返しているなら、この記事で一度、根本から整理してみてください。
山創株式会社 代表取締役
2016年創業以来、遮熱シート「サーモバリア」施工一筋で全国40都府県、1,200件以上の実績を持つ。工場・倉庫の「エアコンが効かない」「電気代が高すぎる」といった作業環境の悩みに、特許取得のスカイ工法と高性能遮熱シート「サーモバリア」で応え続ける。
目次

まず動ける範囲から対策を始めることが現実的です。
スポットクーラー・換気設備・個人装備の3つを、特徴と使いどころとともに整理します。
特定の作業エリアを集中して冷やすには、スポットクーラーが役立ちます。
ポータブル型のため設置場所を選ばず、即日から導入できる点が現場には大きなメリット。レンタルであれば1泊2日で1万円強(税別)程度から使えます。
使う際に押さえておきたいのが排熱の処理です。排熱ダクトを屋外に確実に出さないと、本体周辺の温度が上昇し、冷風と熱風を同時に出す機器になってしまいます。電力容量の制約がある倉庫では増設が難しいこともあり、新規の電源ライン工事が必要になれば5〜15万円程度の追加コストもかかります。
外気温が35℃を超えるような日は効果が出にくくなりますが、作業エリアを区画して冷風を集中させると、限られた能力を効率よく使えます。
庫内にこもった熱気を外へ追い出すには、換気扇や大型ファンが役立ちます。
大型シーリングファン(HVLSファン)は、0.84kW程度の消費電力で1,300㎡以上をカバーできる風量を持ち、天井付近にたまった熱気と床付近の空気を撹拌して温度を均一化します。外気温が下がる夕方から夜間(18時以降)に集中して換気すると効果が出やすく、日中の熱気をためないための使い方として有効です。
給気口が不足していると効果が半減するため、給排気の経路設計が効果を左右します。遮熱シートと組み合わせると、「熱を入れない」と「こもった熱を逃がす」が同時に進み、それぞれの効果が高まります。
空調服・アイスベスト・ネッククーラー・冷感タオルなどの個人装備は、即日から導入できる低コストの対策です。体感温度を2〜3℃程度下げやすく、設備対策と組み合わせることで作業者の負担を確実に減らせます。
あわせて整備しておきたいのが運用ルールです。2025年6月施行の改正労働安全衛生規則では、WBGT(暑さ指数)に基づく熱中症対策が事業者に義務化されました。WBGTの数値に応じた休憩・水分補給・シフト調整を、夏場の運用として定着させてください。
個人装備と運用ルールは、設備改善が進んだあとも継続すべき対策です。
スポットクーラーや換気と組み合わせながら、今夏をしのぐ体制を整えましょう。
ただ一方、本当の対策は「なぜ倉庫が暑くなるのか」という原因を知って、原因に正しく対処することです。

スポットクーラーや換気扇を使っても改善しにくい倉庫には、建屋の構造に起因した共通の要因があります。原因を把握することで、どの対策を優先すべきかが見えてきます。
倉庫が暑くなる主な原因は3つです。
夏の晴天下、金属製の折板屋根の表面温度は70℃〜80℃に達します。
このとき屋根は、赤外線(輻射熱)を庫内全体へ放射し続けます。
輻射熱は空気を素通りしながら、床・壁・作業者の体に直接届く熱で、エアコンで空気をいくら冷やしても、屋根という巨大なヒーターが放射し続ける限り、室温は下がりきりません。
建物内の熱の移動における割合は、伝導熱が5%・対流熱が20%・輻射熱が75%とされています。
つまり室内の熱の4分の3は空気を経由しない輻射熱によるもの。
エアコンや換気扇は「空気の温度」に作用しますが、輻射熱そのものを遮断するには屋根への対策が必要です。
倉庫の暑さ対策を考えるとき、まず「自社の倉庫はどのタイプの暑さか」を把握することが出発点になります。輻射熱が主因であれば、空調の増強より先に屋根への対策を検討する方が、費用対効果の面でも合理的です。
天井高が5〜10m以上になる倉庫では、冷たい空気は重いため床付近に沈み、温かい空気は軽いため上層部にたまるという現象が常に起きています。これを「温度成層」と呼びます。簡単に言うと、「上は灼熱、下は多少マシ」という状態が自然に作られてしまう現象です。
天井付近の温度と床付近の温度の差が大きくなるほど、作業者がいる床面環境はさらに厳しくなります。
一般の家庭やオフィスの空調は、天井高2.4m程度の密閉空間を前提に設計されています。
これに対し、体積が桁違いに大きな倉庫空間では、冷気が作業員のいる床付近に届く前に温められて拡散してしまいます。
上層部の熱だまりが残り続けると、床面はなかなか冷えません。
天井高10m以上の大型倉庫では、天井付近と床付近の温度差が10℃以上になるケースも珍しくありません。「エアコンの台数を増やしたが改善しない」という声の多くは、この温度成層の問題によるものです。
天井が高い倉庫では、空調の増設だけでなくHVLSファンなどで上下の空気を撹拌することで、床付近の温度を効果的に下げられます。
HVLSファンの一例として、岐阜県美濃加茂市の西田技巧が開発した国産のHVLSファン「THE FIRST FAN」があります。
天井高のある大空間に向いた設計で、1台で約1,300㎡以上をカバーしながら消費電力は扇風機3台程度。大型倉庫の温度成層解消に実績があります。
参考:西田技巧
物流倉庫には、荷物の搬出入のために大型シャッターやドックが複数設けられています。
フォークリフトや作業員が出入りするたびに、これらの開口部が開き、空調で整えた室内の空気が一気に外と入れ替わります。
工場や一般オフィスと比べて、倉庫は開口部が特に多い建物です。
ドックシェルターが設置されていない施設では、トラックの荷台との隙間からも継続的に外気が流入します。
「冷やしても冷やしても、すぐに温まってしまう」という担当者の実感は、まさにこの構造的な問題によるものです。
開口部が多い倉庫ほど、「熱を入れない」側の対策が効果を発揮します。ビニールカーテンや遮熱シートと組み合わせることで、外気の流入を抑えながら庫内の温度を維持しやすくなります。

輻射熱が倉庫を暑くする主な原因であることはわかりました。
では、自社の倉庫は輻射熱の影響を特に強く受けているタイプでしょうか。
設備担当者が自分で確認できる3つの視点を紹介します。
最初に確認すべきは、屋根の仕様です。
折板屋根や波板鉄板などの金属製屋根は、日射を受けると素材の特性上、表面温度が急激に上昇します。
色の影響も大きく、パールホワイト系の鋼板は日射反射率が約69%であるのに対し、ブラックや濃いグレーでは40〜45%程度にとどまります。
黒系の屋根は熱吸収率が高く、表面温度も高くなりがちです。
輻射熱の影響が大きい屋根の特徴は以下のとおりです。
断熱材入りのサンドイッチパネルを使用している場合でも、上面の鋼板は金属屋根と同様に輻射熱の影響を受けます。
折板屋根で色が濃い倉庫は、輻射熱型の典型例です。
図面や施工記録を確認するか、屋根を外から見てみてください。
温度計を2本用意するだけで、輻射熱の影響度を大まかに確認できます。
1本を天井近く(できるだけ高い位置)に、もう1本を作業者がいる床から1.5〜1.7m付近に設置し、輻射熱の影響が最も強い時間帯(14〜16時)に計測してみてください。
まずは10分程度でも傾向はつかめます。
同じ種類の温度計でそろえると、差が読み取りやすくなります。
外気温が35℃のときに庫内の床付近が40℃を超えているようなら、輻射熱の影響が強い状態です。
天井直下と床付近の温度差が5℃以上ある場合は、屋根からの輻射熱が上部を集中的に加熱しているサインです。
換気や空調が稼働しているにもかかわらず庫内温度が外気温を上回っているなら、屋根からの輻射熱が降り注ぎ続けている可能性が高いと考えてください。
温度計に加えて、WBGT(暑さ指数)の計測も役に立ちます。
WBGTは気温・湿度・輻射熱・風速を組み合わせて算出される、単なる気温計より屋根からの輻射熱の影響を反映しやすい指標です。
輻射熱型かどうかを診断する視点としても活用でき、庫内WBGTが屋外WBGTより5℃以上高い場合は、屋根からの輻射熱が主因と考えられます。
この差が大きいほど遮熱対策の優先度は上がり、WBGTの基準は25〜28℃で「警戒」、28〜31℃で「厳重警戒」、31℃以上で「危険」とされています。
2025年6月施行の改正労働安全衛生規則では、WBGT28℃以上の環境では、測定と対策を行うことが義務化されました。
WBGTによる数値管理は、担当者が社内で対策の必要性を説明する際の根拠としても機能します。

輻射熱・温度成層・開口部という3つの構造的な問題がある以上、スポットクーラーや換気扇だけで根本解決するのは難しいです。
とはいえ、今すぐ遮熱シートを施工できるわけでもありません。
ここでは応急処置・設備改善・根本解決(遮熱)の3段階に分けて、現実的な進め方を整理します。
応急処置だけを繰り返しても毎年同じ夏を迎えることになるため、今夏をしのぎながら根本対策を並行して計画することが大切です。
スポットクーラーを使う際は、排熱ダクトを必ず屋外に延長してください。
庫内に排熱をそのまま出すと、冷風を出しながら同時に熱風を生む機器になってしまいます。
作業スペースを区画し、冷風を必要なエリアに集中させると効率が上がります。
換気を行うなら、外気温が下がる夕方から夜間(18時以降)に集中させるほうが効果は出やすくなります。
日中の換気は外気の熱を庫内に招き入れる逆効果になりがちです。
複数の開口部を同時に開放し、一気に空気を入れ替えることを意識しましょう。
個人装備と運用ルールは、設備が整ったあとも残すべき対策です。
WBGTに応じた休憩の目安、水分・塩分補給のタイミング、暑さが厳しい時間帯(10〜15時)の重作業の回避を、夏場の運用として定着させてください。
コスト感は数万円〜数十万円程度、効果は1シーズン程度が目安です。
今夏をしのぎながら、根本原因(輻射熱)を断つ計画を並行して立てておくと、来夏以降の改善につながります。
大型換気扇・ウィンドファンは積極的に排熱する設備で、給排気の経路設計が効果を左右します。
天井付近に熱だまりが生じている場合は、ルーフファン(屋根排気ファン)も候補になります。
電力容量に余裕がない倉庫では、消費電力が小さく広範囲をカバーできるHVLSファン(0.84kW程度で1,300㎡以上)を優先的に検討するとよいでしょう。
ゾーニング(ビニールカーテンや間仕切りの設置)は、作業エリアだけを冷気で囲む方法です。
倉庫全体を冷やすのではなく、人がいるスペースに冷気を集中させます。ピッキングや検品など、作業者が長時間滞在するエリアを優先的に区画すると、限られた冷房能力を効率よく使えます。
開口部が多い倉庫では、搬入口付近にビニールカーテンを設置するだけでも、外気の流入を抑えて冷気の逃げを減らす効果があります。大がかりな工事が不要なため、即日から対応できる点も現場には使いやすいです。
温度改善効果は数℃程度ですが、作業者の体感では大きく変わります。
設備対策の費用目安は数十万〜数百万円。設備の耐用年数は10〜15年程度で、運用コスト(消費電力)は比較的低く抑えられます。
換気設備やゾーニングは「庫内にたまった熱を逃がす・閉じ込める」対策です。作業環境を一段改善する中期的な手段として有効で、遮熱シートと組み合わせることで、それぞれの効果が最大限に発揮されます。

輻射熱という根本原因に直接働くのが、遮熱対策です。
なぜ遮熱が根本解決になるのか。
建物内の熱移動の割合は輻射熱が75%(伝導熱5%・対流熱20%)を占めています。
断熱材は伝導熱には効きますが、輻射熱を吸収して蓄積する性質がある点に注意が必要です。
一方、アルミ遮熱シート(サーモバリア)はアルミ純度99%以上の素材で輻射熱を97%反射します。
熱を受け取るのではなく、外へ跳ね返す。
この仕組みが根本解決につながります。
静岡大学工学部名誉教授 中山顕氏(熱工学専門)が監修した実験では、サーモバリアの施工により室温が最大9℃低下、省エネ効果27%が実証されています。
有限会社大丸鉄工所様では、夏場37℃以上あった工場内が施工後に30〜32℃まで低下し、翌年の記録的猛暑(39℃超え)でも、その温度を保ちました。
事例での最大効果は-11℃・冷暖房費約30%削減に達しました。
遮熱で熱を入れないことで、既存の空調や換気の効果も上がります。
電力を増やさずに根本対策できる点は、電力容量に制約がある倉庫では大きな利点です。
施工費用の目安は6,000〜8,000円/㎡程度(建物の条件により変動)、効果は15〜20年以上持続します。
ここまで遮熱シートと換気設備をそれぞれ説明してきましたが、この2つは解決する問題が違います。
遮熱シートは屋根からの熱流入を断つ対策です。輻射熱を97%反射することで、庫内に入ってくる熱の量を根本から減らします。一方、HVLSファンなどの換気設備は、庫内にすでにたまった熱を空気の流れで排出する対策です。天井付近にこもった熱気を撹拌して温度成層を崩し、床付近の作業環境を改善します。
2つを組み合わせると、「入ってくる熱を減らす」と「こもった熱を逃がす」が同時に進みます。どちらか一方だけでは対処できない部分を補い合うため、単独で導入するより庫内温度が下がりやすくなります。
遮熱シートの施工と換気設備の見直しを同じタイミングで進めると、工事の段取りをまとめられる分、費用面でも効率よく進められるケースがあります。
前述の「THE FIRST FAN」のように消費電力の小さいHVLSファンは電力容量に余裕がない倉庫でも導入しやすく、遮熱工事と合わせて検討しやすい設備のひとつです。
遮熱シートの施工方法は、屋根の形状や建物の用途によって異なります。
屋根の形状と建物条件別に、対応できる工法をまとめます。
多くの倉庫に見られる折板屋根には、スカイ工法(特許第6598337号)が対応します。
両面テープで屋根の外側にシートを貼り付けるこの工法は、足場を必要とせず、倉庫稼働中でも施工できます。折板屋根特有の雨漏り問題も、ジョイント部分をシートで覆うことで同時に解決でき、遮熱塗料と比べて施工品質が職人の技量に左右されにくい点も特徴です。
屋根の内側(野地板や垂木の下)に施工する内貼り工法は、外観を変えずに遮熱できるため、外観の制約がある建物や既存の屋根材を活かしたい場合に向いています。
防火規制がある建物には、不燃認定品のサーモバリア フィット(国土交通省不燃認定NM-5169)を使用します。倉庫の用途や自治体の規制によって使用できる製品が変わるため、事前の確認が必要です。
どの工法が自社の倉庫に合うかは、現地で屋根の状態を確認してからの判断が必要です。図面だけでは判断できない劣化状況や下地の状態も、現地調査で合わせて確認しています。
「まず費用感だけ知りたい」「屋根の状態を見てほしい」という段階からでも対応しています。
よく使われる対策を試しても毎年同じ夏を繰り返しているなら、根本原因の輻射熱にたどり着いていない可能性があります。
山創株式会社は2016年の創業以来、サーモバリアの施工に特化し、全国1,000件以上の実績を積んできました。工場・倉庫・物流センターなど、さまざまな建物での施工経験をもとに、屋根の状態と建物の条件に合った工法を提案しています。
「毎年同じ夏を繰り返している」「スポットクーラーを増やしても改善しない」という状況が続いているなら、一度屋根の状態を確認してみることをおすすめします。輻射熱型かどうかの判断も、現地で屋根を見ることで明確になります。
「まず費用感だけ知りたい」「屋根の状態を見てほしい」という段階からでも対応しています。まずは現地調査で屋根の状態を確認し、工法と費用感の目安を整理してみてください。