2026.03.31
投稿日:2026.03.30 最終更新日:2026.03.30
去年クーラーを増設したのに工場の暑さが変わらない。
そんなことを去年も思ったのに、また今年も同じ感想を抱くのだろうか。と思っていませんか?
それは機器の性能が足りないわけでも、台数が少ないわけでもありません。工場という建物の構造と、工場特有の熱源に、暑さが解消されにくい理由があります。
また今年も同じ事が起こりかねない、けど何か工場の暑さで対策をしなければならない。そうお考えの方はぜひこの記事で一度、暑さの課題の根本から整理してみてください。
山創株式会社 代表取締役
2016年創業以来、遮熱シート「サーモバリア」施工一筋で全国40都府県、1,200件以上の実績を持つ。工場・倉庫の「エアコンが効かない」「電気代が高すぎる」といった作業環境の悩みに、特許取得のスカイ工法と高性能遮熱シート「サーモバリア」で応え続ける。
目次

工場の暑さ対策は、発想の違いで3種類に分けられます。
屋根や機械からの熱を、そもそも室内に入れない対策です。遮熱シートを屋根に施工して太陽熱の侵入を断ったり、炉・機械を遮熱シートで包んで発熱を封じ込めたりします。一度施工すれば15〜20年以上効果が持続し、既存の空調・換気の効率も上がるため、根本対策として位置づけられます。
スポットクーラー・換気扇・産業用エアコン・ゾーニングなど、室内に入った熱を冷やしたり外に出したりする対策です。多くの工場で最初に取り組む方法で、設備の種類や配置によって効果の出方が変わります。熱の侵入が続く限り処理が追いつかない場面もあるため、「熱を入れない」対策との組み合わせが効果的です。
空調服(ファン付き作業着)など、作業者個人の体感温度を下げる対策です。即日から動けるため、設備対策の準備期間中も含めて他の対策と並行して使います。WBGTに応じた休憩ルールや水分補給の徹底も、この発想に含まれます。
ただし、これらを闇雲に組み合わせても効果が出ないケースがあります。工場によって「なぜ暑いのか」の原因が違うからです。スポットクーラーを増やしても改善しない工場には、建物の構造に起因した共通の要因があります。
まず自社の工場がなぜ暑くなるのかを理解してから、対策の優先順位を決めることが大切です。

スポットクーラーや換気扇を使っても改善しにくい工場には、建屋の構造と工場特有の熱源に起因した共通の要因があります。
原因を把握することで、どの対策を優先すべきかが見えてきます。
工場が暑くなる主な原因は3つです。
工場で厄介なのは、空気だけが暑いわけではないことです。屋根そのものが熱を持ち、そこから熱が降ってくるような状態になります。これが輻射熱で、建物内の熱移動の75%を占めます。
エアコンは「空気を冷やす」機械です。空気の流れで伝わる対流熱(20%)には働きますが、屋根から放射される輻射熱(75%)には効果が届きません。真夏の折板屋根は60℃を超えることもあり、空気をいくら冷やしても、屋根が熱を降らし続ける限り室温は下がりきらないのです。
断熱材を施工している工場でも同じ問題が起きます。断熱材は輻射熱を止める機能を持たず、むしろ吸収・蓄積してしまいます。布団を干すとポカポカになるのと同じ原理で、昼間に蓄積した熱が夜になっても放出され続けます。「夜になっても工場が冷えない」という現象の主な原因はここにあります。
工場には、倉庫にはない熱源があります。プレス機・炉・モータなど、稼働中の機械・設備からは大きな熱が発生します。乾燥炉や焼却炉は特に発熱量が大きく、排熱をうまく逃がせないと室内温度を直接押し上げます。
屋根からの輻射熱に機械発熱が重なることで、工場の暑さは倉庫より複合的になりやすいのが実情です。
エアコンをつけても、足元はなぜか涼しくならない。そういう経験をしている現場は多いはずです。原因は「温度成層」で、上は灼熱・下は多少マシという状態が工場内に自然に作られてしまいます。冷たい空気は重いため床付近に沈みますが、天井が高い工場では床に届く前に周囲の熱気で温められて拡散してしまうのです。
「エアコンの台数を増やしたが改善しない」という声の多くは、この温度成層の問題によるものです。天井が高い工場では、床に届くまでに冷気が温められてしまうため、エアコンを増やすだけでは限界があります。

輻射熱が工場を暑くする主な原因であることはわかりました。
では、自社の工場は輻射熱の影響を特に強く受けているタイプでしょうか。
設備担当者が自分で確認できる3つの視点を紹介します。
最初に確認すべきは、屋根の仕様です。折板屋根・波板鉄板などの金属製屋根は、日射を受けると素材の特性上、表面温度が急激に上昇します。夏場の折板屋根は表面温度が60℃〜80℃に達することもあり、外気温より20〜30℃高くなるケースも珍しくありません。
色の影響も大きく、パールホワイト系の鋼板は日射反射率が約69%であるのに対し、黒・濃いグレー・濃い緑など暗い色では40〜45%程度にとどまります。色が濃いほど熱吸収率が高く、表面温度も高くなります。
断熱材入りのサンドイッチパネルを使用している場合でも、上面の鋼板は金属屋根と同様に輻射熱の影響を受けます。図面や施工記録を確認するか、外から屋根の色と素材を見てみてください。折板屋根で色が濃い工場は、輻射熱型の典型例です。
温度計を2本用意し、1本を天井近く(できるだけ高い位置)、もう1本を作業者がいる床から1.5〜1.7m付近に設置します。輻射熱の影響が最も強い14〜16時台に計測してみてください。同じ種類の温度計でそろえると、差が読み取りやすくなります。
確認のポイントは2つです。
換気や空調を稼働させているにもかかわらず室内温度が外気温を上回っているなら、屋根から熱が降り注ぎ続けている可能性が高いと考えてください。
温度計だけでは輻射熱の影響は測れません。気温・湿度・輻射熱・風速を組み合わせて算出するWBGT(暑さ指数)を使うと、輻射熱がどれだけ体感を押し上げているかが数値で見えてきます。工場内のWBGTが屋外より5℃以上高い場合は、屋根からの輻射熱が主因と考えられます。
WBGTの基準値は25〜28℃で「警戒」、28〜31℃で「厳重警戒」、31℃以上で「危険」とされています。
2025年6月施行の改正労働安全衛生規則ではWBGT28℃以上の環境での測定と対策が義務化されました。数値を定期的に記録しておくことは、社内で対策の必要性を説明する際の根拠にもなります。

根本原因がわかったなら、根本から動くのが最短ルートです。
遮熱シートの施工は足場不要で工場の稼働中でも進められるため、今から動けば今夏に間に合います。
まず遮熱で熱の侵入を断ち、並行して設備・運用を整えるのが現実的な進め方です。
空調や換気は「室内に入った熱を処理する」機器です。どれだけ能力を上げても、屋根や機械から熱が供給され続ける限り、処理が追いつかない状態が続きます。まず熱の侵入源を減らすことで、空調・換気が本来の能力を発揮できる環境が整います。
熱源をブロックする手段として有効なのが、遮熱シートの施工です。アルミ純度99%以上の素材で輻射熱を97%反射し、熱を吸収・蓄積する断熱材とは根本的に仕組みが違います。静岡大学工学部名誉教授 中山顕氏(熱工学専門)が監修した実験では、施工により室温が最大9℃低下、省エネ効果27%が実証されています。
工場の熱源は「屋根からの輻射熱」と「炉・機械からの発熱」の2種類あり、それぞれに対応する工法があります。
折板屋根への施工には特許取得のスカイ工法を使います。
両面テープで屋根の上にシートを貼り付ける工法で、足場が不要なため工場の稼働中でも施工できます。折板屋根特有のジョイント部分をシートで覆うため、雨漏り防止効果も同時に得られます。
遮熱塗装と異なり職人の技量に依存しないため、施工品質が安定している点も特徴です。
夏場37℃以上あった工場内が施工後に30〜32℃まで低下。翌年の記録的猛暑(39℃超え)でも同じ温度を保ちました。
「正直ここまで変わるとは思ってもみなかった」とのコメントをいただいています。
事例での最大効果は-11℃・冷暖房費約30%の削減です。
遮熱で熱の侵入を減らすことで、既存の空調や換気の効果も上がります。
電力を増やさずに根本対策できる点は、電力容量に制約がある工場では大きな利点です。
施工費用の目安は6,000〜8,000円/㎡程度(建物の条件により変動)、効果は15〜20年以上持続します。
スカイ工法が「屋根から入る熱を断つ」対策であるのに対し、フィット工法は「工場内の熱源から出る熱を断つ」対策です。
不燃認定を取得したガラスクロス製の遮熱シート「サーモバリアフィット」を使った工法で、乾燥炉や大型機械をテント状に包み込んで熱を閉じ込める使い方が基本です。反射板のように熱源と作業者の間に立てて熱を跳ね返す使い方もでき、機械の形状に合わせて縫製加工できるため、複雑な形状にも対応できます。
鉄を溶かす炉「キューポラ」にフィット工法を施工したところ、炉の表面温度が200℃超から施工後は25℃まで低下。
「全く熱を感じなくなった」という現場の声とともに、製造量が13%アップしたという結果も出ています。
スカイ工法(屋根)とフィット工法(炉・機械)で熱源を断ったうえで、エアコンやHVLSファンを組み合わせると、それぞれの効果が最大限に発揮されます。
3つの対策の役割を整理すると以下のとおりです。
| 対策 | 役割 |
|---|---|
| 遮熱シート(スカイ工法・フィット工法) | 屋根・機械からの輻射熱を反射し、熱の侵入・発生を断つ |
| エアコン・スポットクーラー | 室内に残った熱を処理し、作業エリアの温度を下げる |
| HVLSファン・換気扇 | 天井付近の熱気と床付近の冷気を撹拌し、冷気を作業者のいる高さに届ける |
「熱を入れない→残った熱を冷やす→冷気を届ける」という順番で役割を分担させることで、遮熱で熱負荷が減り、空調の処理量が減り、ファンの効率も上がります。
HVLSファンの一例として、岐阜県美濃加茂市の西田技巧が開発した国産のHVLSファン「THE FIRST FAN」があります。
大型の羽がゆっくり回転することで広範囲の空気を動かす仕組みで、1台で工場内を均一に循環させながら消費電力は扇風機3台程度に抑えられます。体感温度を約4℃下げる効果も確認されています。
参考:西田技巧
このように「熱源を遮断したうえで、冷気を循環させる」ことがファーストステップです。
遮熱で熱の侵入を減らしても、工場内にたまった熱は残ります。換気設備とゾーニングは、その残った熱を効率よく処理するための対策です。
大型換気扇・ウィンドファンは積極的に排熱する設備で、給排気の経路設計が効果を左右します。天井付近に熱だまりが生じている場合は、ルーフファン(屋根排気ファン)も候補になります。効果が出やすいのは外気温が下がる夕方から夜間(18時以降)で、複数の開口部を同時に開放して一気に入れ替えると効率的です。
ゾーニングは、作業エリアだけを冷気で囲む方法です。工場全体を冷やすのではなく、人がいるスペースに冷気を集中させます。ビニールカーテンや間仕切りの設置から始めやすく、温度改善効果は数℃程度ですが作業者の体感では大きく変わります。
設備対策の費用目安は数十万〜数百万円。設備の耐用年数は10〜15年程度で、運用コスト(消費電力)は比較的低く抑えられます。
設備対策と並行して、作業者個人を守る運用も整えておく必要があります。遮熱や換気で環境が改善されても、猛暑日の屋外作業や高温エリアでの短時間作業は残るからです。
空調服などの個人装備は即日から使えます。体表面の汗を気化させて体感温度を下げる仕組みで、外気温が高い日はこまめな水分補給や休憩との組み合わせが効果的です。スポットクーラーを使う場合は排熱ダクトを必ず屋外に延長してください。排熱を室内に出したままでは、冷風と熱風を同時に出す機器になってしまいます。
WBGTに応じた休憩タイミングの設定、水分・塩分補給のルール化、暑さが厳しい時間帯(10〜15時)の重作業を避けるスケジュール調整は、設備が整った後も継続すべき運用です。
輻射熱という根本原因は共通していても、業種によって熱源の構成が異なるため、どこにどの対策を組み合わせるかは変わります。
温度が品質や衛生管理に直結します。
屋根からの輻射熱を断つことが品質管理上も意味を持ち、遮熱シートは施工時に塗装工程がなくシートを貼るだけで完了するため、食品衛生への影響が少ない点が特徴です。
温度変動が製品の品質・歩留まりに直接影響します。
輻射熱が多い環境では空調を稼働し続けても室温が安定しにくく、屋根からの輻射熱を断つことで空調負荷が安定し、温度変動を抑えやすくなります。
屋根からの輻射熱に加え、プレス機・溶解炉・乾燥炉などからの機械発熱が重なります。
スカイ工法(屋根面の輻射熱対策)と、炉・機械の周囲をサーモバリア フィットで覆うフィット工法を組み合わせることで、複数の熱源を同時に断てます。
どの業種でも共通しているのは、まず屋根の輻射熱を断つことが根本対策の出発点になるという点です。
スポットクーラーや換気扇を試しても毎年同じ夏を繰り返しているなら、根本原因の輻射熱にたどり着いていない可能性があります。まず屋根の仕様・室内外の温度差・WBGTで輻射熱型かどうかを確認するところから始めてみてください。
山創株式会社は2016年の創業以来、サーモバリアの施工に特化し、全国1,000件以上の実績を積んできました。工場・倉庫・物流センターなど、さまざまな建物での施工経験をもとに、屋根の状態と建物の条件に合った工法を提案しています。
対策の順番は、屋根の構造・熱源の種類・工場内の空間特性によって変わります。「空調を増やすべきか、遮熱から入るべきか」は、現地の状況を確認しないと判断しにくい部分でもあります。自社だけで判断しきれない場合は、一度整理する機会として相談を活用してみてください。契約を前提とした提案ではなく、まず現状の原因を整理することから始められます。
「費用感だけ先に知りたい」「屋根の状態を見てほしい」という段階からでも対応しています。